建設現場で発生したがれき類や木くず、廃プラスチック類などの産業廃棄物を、排出事業者から委託を受けて運搬するためには、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に基づく「産業廃棄物収集運搬業の許可」が必要です。
建設業者にとっても、元請から解体工事や改修工事で出た廃棄物の運搬まで任されるケースは多く、収集運搬業の許可は事業の幅を広げる重要な許認可です。
本記事では、埼玉県の公式案内をもとに、積替え保管を除く産業廃棄物収集運搬業の許可について、許可が必要なケース、許可要件、手数料、予約制の申請方法、許可後の届出を整理し、あわせて行政書士に依頼するメリットをご紹介します。
産業廃棄物収集運搬業の許可が必要なケース
許可が必要な場合
他人(排出事業者)の産業廃棄物を、業として収集・運搬する場合に許可が必要です。運搬料金を受け取るかどうかや、元請・下請の関係にかかわらず、他社の廃棄物を運ぶなら許可の対象になります。
許可が不要な場合
- 自社が排出した産業廃棄物を、自社で運搬する場合(自ら運搬)
- 一般廃棄物(家庭ごみなど)のみを扱う場合(一般廃棄物の許可は市町村の所管です)
建設工事で発生する廃棄物は、原則として元請業者が排出事業者となります。下請業者が元請の廃棄物を運ぶ場合は、原則として収集運搬業の許可が必要です。
許可は「積込み地」と「荷下ろし地」の都道府県ごとに必要
収集運搬業の許可は、廃棄物を積み込む場所と荷下ろしする場所を管轄する都道府県ごとに必要です。たとえば東京都の現場で積み込み、埼玉県の処分場へ運ぶ場合は、東京都と埼玉県の両方の許可が必要です(通過するだけの都道府県の許可は不要です)。
埼玉県の許可で県内全域をカバー
積替え保管を除く収集運搬業については、平成23年4月から埼玉県の許可だけで、さいたま市・川越市を含む県内全域で収集運搬ができるようになっています。以前のように県と市の許可を別々に取る必要はありません。
許可の種類と申請区分
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 産業廃棄物収集運搬業 | 一般的な産業廃棄物(がれき類、木くず、廃プラスチック類、金属くずなど)を運搬する許可 |
| 特別管理産業廃棄物収集運搬業 | 爆発性・毒性・感染性など、人の健康や生活環境に被害を生ずるおそれがある廃棄物を運搬する許可(別途の許可が必要) |
- 新規許可申請:初めて許可を取得する場合
- 更新許可申請:許可の有効期間満了後も引き続き営業する場合
- 変更許可申請:取り扱う品目を追加する場合(石綿含有産業廃棄物を追加する場合を含む)
- 変更届:運搬車両、役員、住所などに変更があった場合
- 廃止届:事業の全部または一部を廃止した場合
産業廃棄物収集運搬業の許可要件
要件1:講習会を修了していること
申請前に、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する講習会(収集・運搬課程)を受講し、修了証を取得する必要があります。受講するのは、法人の場合は役員(監査役を除く)または政令で定める使用人、個人の場合は申請者本人または政令で定める使用人です。
埼玉県では、許可期限が2026年1月1日以降の更新許可申請について、講習会修了証の有効期間が2年から5年に延長されています。
要件2:運搬に必要な施設(車両・容器)があること
取り扱う産業廃棄物の種類や性状に応じて、飛散・流出・悪臭の漏れを防止できる運搬車両や容器を保有している(または使用権原がある)ことが必要です。
要件3:経理的基礎があること
事業を的確かつ継続して行うための経理的な基礎が求められます。決算書の内容によっては、債務超過の場合や設立間もない法人の場合に、事業計画(財務実績・計画書)の提出を求められます。
要件4:欠格要件に該当しないこと
申請者、法人の役員、一定割合以上の株主、政令で定める使用人などが、廃棄物処理法などの法令違反による刑罰を受けてから一定期間を経過していない場合や、暴力団員等に該当する場合などは許可を受けることができません。
屋号での許可取得はできません
個人事業主の場合、屋号での許可取得はできず、個人名で申請します。
埼玉県の申請手数料
| 申請の種類 | 産業廃棄物 | 特別管理産業廃棄物 |
|---|---|---|
| 新規許可 | 81,000円 | 81,000円 |
| 更新許可 | 73,000円 | 74,000円 |
| 変更許可 | 71,000円 | 72,000円 |
手数料は、埼玉県電子申請・届出サービスを通じてクレジットカード・ペイジー・コード決済による電子収納で納付します。窓口の決済端末での支払いはできません。
埼玉県での申請方法と流れ(予約制)
STEP1:講習会の受講
JWセンターの講習会を受講し、修了証を取得します。講習会は日程が限られ、早めに満席になることもあるため、計画的に申し込みましょう。
STEP2:Web予約システムで申請日を予約
埼玉県の申請は予約制です。予約はWebの予約システムのみで受け付けており、電話や窓口では予約できません。郵送で申請する場合も予約が必要です。予約は3か月前から可能で、更新申請は許可期限の3か月前から申請できます。
STEP3:電子申請・届出サービスへの入力
予約完了メールの案内に従い、申請予約日までに埼玉県電子申請・届出サービスで必要事項を入力します。
STEP4:申請書類の作成
県の最新の手引・様式・記入例を参考に書類を作成します(冊子の配布はありません)。書類はファイルに入れず、左側2か所に穴を開けてひもでとじます。
なお、2026年4月1日から、収集運搬業の申請・届出では法人の登記事項証明書の添付が不要となり、代わりに「法人番号提供書」を提出します。
STEP5:提出(窓口または郵送)
- 窓口:予約日時に書類を持参します。形式審査の後、手数料の納付方法がメールで届きます。
- 郵送:予約日時に到着するよう送付します。副本の返送には約3週間かかります。
STEP6:審査・許可証の交付
手数料の納付が確認された後に内容審査が始まります。標準処理期間は43日(優良認定の場合は48日)で、土日祝日・年末年始を除くため、実際には約2か月~2か月半かかります。補正にかかる期間は含まれないため、余裕を持ったスケジュールが大切です。
添付書類を省略できる「先行許可制度」
埼玉県では、すでに他の都道府県や政令市などで収集運搬業の許可(規則で定める書類をすべて提出して受けた許可)を持っている場合、その許可証を「先行許可証」として提出することで、役員や株主の住民票の写しなど一部の添付書類を省略できます。他県で許可を取得済みの事業者が埼玉県の許可を追加する際に活用できる制度です。
許可取得後に必要な手続
- 更新:許可の有効期間は原則5年です(優良認定を受けた場合は7年)。更新申請も予約制で、許可期限の3か月前から申請できます。
- 変更許可:取り扱う品目を追加する場合は、事前に変更許可が必要です。
- 変更届:運搬車両の増減、役員・住所などの変更があった場合は変更届を提出します。
- 廃止届:事業を廃止した場合は廃止届を提出します。
- マニフェスト・帳簿:産業廃棄物管理票(マニフェスト)の運用や帳簿の記載・保存など、許可業者としての義務を守る必要があります。
産業廃棄物収集運搬業許可を行政書士に依頼する5つのメリット
1. 必要な都道府県・品目を正確に整理できる
積込み地と荷下ろし地の都道府県ごとに許可が必要なため、取引先や処分場の所在地から、どの都県の許可がいくつ必要かを整理します。取り扱う品目(がれき類、木くず、石綿含有産業廃棄物など)の選び方もアドバイスします。
2. 予約・電子申請・書類作成をまとめて代行
埼玉県の申請は、Web予約、電子申請サービスへの入力、紙の書類作成と、手順が複数に分かれています。予約の取得から書類の提出、手数料納付の案内まで一括してサポートします。
3. 経理的基礎や欠格要件の確認で不許可リスクを減らす
決算書の内容(債務超過など)や役員・株主の状況によっては、追加書類や説明が必要になります。事前に要件を確認し、補正や不許可のリスクを最小限に抑えます。
4. 複数の都県の許可を効率よく取得
先行許可制度などを活用しながら、埼玉県と東京都・千葉県・群馬県など複数の都県の許可を効率よく取得できるようサポートします。
5. 更新・変更届から建設業許可まで継続サポート
5年ごとの更新期限の管理、車両の入替えや役員変更の届出、建設業許可や解体工事業登録などの関連許認可まで、まとめてご相談いただけます。
よくある質問
Q. 自社の工事で出た廃棄物を自社のトラックで運ぶのにも許可は必要ですか?
A. 自社が排出事業者として自ら運搬する場合は、収集運搬業の許可は不要です。ただし、下請として元請の廃棄物を運ぶ場合は、原則として許可が必要です。
Q. 埼玉県の許可があれば、さいたま市内でも収集運搬できますか?
A. はい。積替え保管を除く収集運搬業については、埼玉県の許可でさいたま市・川越市を含む県内全域の収集運搬が可能です。
Q. 申請してから許可が出るまでどのくらいかかりますか?
A. 埼玉県の標準処理期間は43日(優良認定の場合は48日)で、土日祝日を除くため約2か月~2か月半が目安です。講習会の受講や予約の待ち時間も考慮して、早めに準備を始めましょう。
Q. 電話で申請の予約はできますか?
A. できません。埼玉県ではWebの予約システムのみで予約を受け付けています。郵送で申請する場合も予約が必要です。
産業廃棄物収集運搬業の許可は全国建設業許認可サポートセンターにご相談ください
全国建設業許認可サポートセンターでは、産業廃棄物収集運搬業の許可申請をはじめ、建設業許可、解体工事業登録、電気工事業登録など、建設業に関わる許認可手続をトータルでサポートしています。
「どの都県の許可が必要か分からない」「予約や電子申請の手順が複雑」「建設業許可とあわせて相談したい」といったご相談にも丁寧に対応いたします。お気軽にお問い合わせください。
※本記事は埼玉県「産業廃棄物収集運搬業(積替え保管を除く。)の許可・届出について」および関連ページ(2026年10月時点)をもとに作成しています。手数料や様式、申請方法は変更される場合がありますので、申請前に必ず最新の手引をご確認ください。


