建設現場で発生したがれき類、木くず、廃プラスチック類、金属くずなどの産業廃棄物を、排出事業者から委託を受けて運搬するためには、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に基づく「産業廃棄物収集運搬業の許可」が必要です。
本記事では、全国どの都道府県でも共通する積替え保管を除く産業廃棄物収集運搬業の許可について、許可が必要なケース、許可要件、必要書類、手数料の目安、申請の流れ、許可取得後の義務を整理し、あわせて行政書士に依頼するメリットをご紹介します。
産業廃棄物収集運搬業の許可が必要なケース
許可が必要な場合
他人(排出事業者)の産業廃棄物を、業として収集・運搬する場合に許可が必要です。運搬料金を受け取るかどうか、元請・下請の関係にかかわらず、他社の産業廃棄物を運ぶなら原則として許可の対象になります。
許可が不要な場合
- 自社が排出した産業廃棄物を、自社で運搬する場合(自ら運搬)
- 一般廃棄物(家庭ごみなど)のみを扱う場合(一般廃棄物収集運搬業は市町村の許可制度です)
- 専ら再生利用の目的となる産業廃棄物(古紙、くず鉄、空きびん類、古繊維)のみを扱う場合
建設工事では「元請業者」が排出事業者
建設工事に伴って発生する産業廃棄物は、原則として元請業者が排出事業者となります。そのため、下請業者が元請の廃棄物を運搬する場合は、原則として収集運搬業の許可が必要です。小規模な維持修繕工事などで一定の要件を満たす場合に限り、下請業者が排出事業者とみなされる例外があります。
無許可営業の罰則
許可を受けずに産業廃棄物の収集運搬業を営んだ場合は、5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(またはその併科)という重い罰則の対象です。また、無許可業者に運搬を委託した排出事業者も処罰の対象になります。
許可は「積込み地」と「荷下ろし地」の都道府県ごとに必要
積替え保管を除く収集運搬業の許可は、廃棄物を積み込む場所と、荷下ろしする場所を管轄する都道府県知事から受ける必要があります。
| 運搬のパターン | 必要な許可 |
|---|---|
| A県の現場で積み込み、A県内の処分場へ運ぶ | A県の許可 |
| A県の現場で積み込み、B県の処分場へ運ぶ | A県とB県の許可 |
| A県で積み込み、C県を通過してB県へ運ぶ | A県とB県の許可(通過するだけのC県は不要) |
平成23年4月の法改正以降、積替え保管を除く収集運搬業は都道府県の許可だけで、その都道府県内の政令市・中核市を含む全域で営業できるようになりました。市ごとに別の許可を取る必要はありません(積替え保管を行う場合は扱いが異なります)。
許可の種類と申請区分
| 許可の種類 | 扱える廃棄物 |
|---|---|
| 産業廃棄物収集運搬業 | がれき類、木くず、廃プラスチック類、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、汚泥など |
| 特別管理産業廃棄物収集運搬業 | 爆発性・毒性・感染性など、人の健康や生活環境に被害を生ずるおそれがあるもの(廃石綿等、廃油の一部、感染性廃棄物など) |
- 新規許可申請:初めて許可を取得する場合
- 更新許可申請:有効期間満了後も引き続き営業する場合
- 変更許可申請:取り扱う品目(廃棄物の種類)を追加する場合
- 変更届:役員、住所、運搬車両などに変更があった場合
- 廃止届:事業の全部または一部を廃止した場合
許可の有効期間は5年です。優良産廃処理業者として認定を受けた場合は7年になります。
産業廃棄物収集運搬業の許可要件
要件1:講習会を修了していること
申請前に、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する講習会(収集・運搬課程)を受講し、修了証を取得します。新規許可は「新規」課程、更新許可は「更新」課程が対象です。
- 法人:代表者、役員(監査役を除く)、または政令で定める使用人のいずれか
- 個人:申請者本人、または政令で定める使用人
修了証の有効期間の扱いは都道府県によって異なる場合があるため、申請先の手引で確認しましょう。
要件2:運搬に必要な施設(車両・容器)があること
取り扱う廃棄物の種類や性状に応じて、飛散・流出・悪臭の漏れを防止できる運搬車両や容器を保有している(またはリース等で使用する権原がある)ことが必要です。車検証や車両の写真などで確認されます。
要件3:経理的基礎があること
事業を的確かつ継続して行うための経理的な基礎が求められます。直近の決算書や納税証明書で確認され、債務超過の場合や設立間もない法人の場合は、中小企業診断士・税理士等による経営診断書や、今後の事業計画・収支計画などの追加資料を求められることがあります。
要件4:欠格要件に該当しないこと
申請者、法人の役員、5%以上の株主・出資者、政令で定める使用人などが、次のような欠格要件に該当すると許可を受けられません。
- 禁錮(拘禁刑)以上の刑を受け、執行を終わってから5年を経過していない者
- 廃棄物処理法や環境関連法令などに違反して罰金刑を受け、5年を経過していない者
- 廃棄物処理業の許可を取り消され、5年を経過していない者
- 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
要件5:事業計画が適切であること
どのような排出事業者から、どの種類の廃棄物を、どの処分場へ運ぶのかといった事業計画が具体的かつ適切であることも審査されます。
申請に必要な主な書類(全国共通の例)
- 許可申請書
- 事業計画の概要(運搬する廃棄物の種類・量、運搬先、運搬方法など)
- 講習会修了証の写し
- 運搬車両の自動車検査証の写し、車両・容器の写真
- 定款の写し(法人)
- 直近3年分の貸借対照表・損益計算書等の財務諸表(法人)、所得税の確定申告書等(個人)
- 直近3年分の法人税(所得税)の納税証明書
- 登記事項証明書(法人)※法人番号の提供で代替できる自治体もあります
- 役員・5%以上の株主・政令使用人の住民票の写し
- 欠格要件に該当しない旨の誓約書
様式や添付書類の細部、写真の撮り方、書類の綴じ方などは都道府県ごとに定められています。申請先の最新の手引・様式を必ず確認しましょう。
2つ目以降の都道府県では添付書類を省略できる場合も
すでに他の都道府県で許可を取得している場合、その許可証を「先行許可証」として提出することで、住民票の写しなど一部の添付書類を省略できる制度があります。複数の都道府県で許可を取る事業者は活用を検討しましょう。
申請手数料の目安
| 申請の種類 | 産業廃棄物 | 特別管理産業廃棄物 |
|---|---|---|
| 新規許可 | 81,000円 | 81,000円 |
| 更新許可 | 73,000円 | 74,000円 |
| 変更許可 | 71,000円 | 72,000円 |
多くの都道府県がこの金額を採用していますが、手数料は各都道府県の条例で定められています。納付方法(収入証紙、納付書、キャッシュレス決済など)も自治体によって異なります。
申請から許可までの流れ
STEP1:講習会の受講
JWセンターの講習会を受講し、修了証を取得します。講習会は日程が限られ、早めに満席になることもあるため、許可取得の予定から逆算して申し込みましょう。
STEP2:事前相談・申請予約
多くの都道府県では、申請は事前予約制です。Webの予約システムや電話で予約するほか、電子申請・郵送申請に対応している自治体もあります。
STEP3:書類の作成・収集
申請書、事業計画、財務書類、納税証明書、住民票、車両の書類などを揃えます。財務書類の内容によっては追加資料の準備が必要です。
STEP4:申請・手数料の納付
予約日に窓口へ提出するか、自治体の定める方法(郵送・電子申請など)で提出し、手数料を納付します。
STEP5:審査・許可証の交付
標準処理期間は自治体によって異なりますが、おおむね2か月前後かかるのが一般的です。書類に補正があると、その分だけ期間が延びます。
許可取得後の義務と手続
- 運搬車両の表示:車体の両側面に「産業廃棄物収集運搬車」の表示、氏名または名称、許可番号(下6桁)を見やすく表示します。
- 書面の携帯:運搬車両には許可証の写しなど所定の書面を備え付けます。
- マニフェストの運用:産業廃棄物管理票(マニフェスト)の受領・記載・回付を適切に行います。
- 帳簿の記載・保存:収集運搬の実績を帳簿に記載し、5年間保存します。
- 変更届:役員・住所・車両などに変更があった場合は、原則として変更の日から10日以内(登記事項証明書の添付が必要な場合は30日以内)に届け出ます。
- 変更許可:取り扱う品目を追加する場合は、事前に変更許可が必要です。
- 更新:有効期間(5年)が満了する前に、更新課程の講習会を受講したうえで更新申請を行います。
- 再委託の禁止:受託した廃棄物の運搬を他の業者に再委託することは原則として禁止されています。
産業廃棄物収集運搬業許可を行政書士に依頼する5つのメリット
1. 必要な都道府県・品目を正確に整理できる
取引先の現場や処分場の所在地から、どの都道府県の許可がいくつ必要かを整理します。取り扱う品目(がれき類、木くず、石綿含有産業廃棄物など)の選び方もアドバイスします。
2. 経理的基礎・欠格要件の事前チェックで不許可リスクを減らす
債務超過や設立直後の法人、役員・株主の状況など、審査で問題になりやすいポイントを事前に確認し、必要な追加資料の準備まで支援します。
3. 自治体ごとに異なる手引・予約・提出方法に対応
予約方法、提出方法、手数料の納付方法、書類の綴じ方などは自治体ごとに異なります。各自治体のルールに沿って書類を作成し、申請まで代行します。
4. 複数の都道府県の許可を効率よく取得
先行許可証の制度を活用しながら、複数の都道府県の許可を同時並行で効率よく取得できるようサポートします。
5. 更新・変更届から建設業許可まで継続サポート
5年ごとの更新期限の管理、車両の入替えや役員変更の届出、建設業許可、解体工事業登録などの関連許認可まで、まとめてご相談いただけます。
よくある質問
Q. 自社の工事で出た廃棄物を自社のトラックで運ぶのにも許可は必要ですか?
A. 自社が排出事業者として自ら運搬する場合は、収集運搬業の許可は不要です。ただし、下請として元請の廃棄物を運ぶ場合は、原則として許可が必要です。
Q. 1つの都道府県の許可で全国の廃棄物を運べますか?
A. 運べません。積込み地と荷下ろし地の都道府県ごとに許可が必要です。通過するだけの都道府県の許可は不要です。
Q. 政令市や中核市の許可も別に必要ですか?
A. 積替え保管を除く収集運搬業であれば、都道府県の許可だけで、その都道府県内の政令市・中核市を含む全域で営業できます。
Q. 許可の有効期間はどのくらいですか?
A. 原則5年です。優良産廃処理業者の認定を受けた場合は7年になります。
Q. 運搬車両はリースでも大丈夫ですか?
A. リース車両でも、使用する権原があることを契約書などで証明できれば申請できるのが一般的です。具体的な必要書類は申請先の手引で確認しましょう。
産業廃棄物収集運搬業の許可は全国建設業許認可サポートセンターにご相談ください
全国建設業許認可サポートセンターでは、全国の都道府県における産業廃棄物収集運搬業の許可申請をはじめ、建設業許可、解体工事業登録、電気工事業登録など、建設業に関わる許認可手続をトータルでサポートしています。
「どの都道府県の許可が必要か分からない」「複数の都道府県でまとめて許可を取りたい」「建設業許可とあわせて相談したい」といったご相談にも丁寧に対応いたします。お気軽にお問い合わせください。
埼玉県での具体的な申請方法(予約制・手数料の納付方法など)は、【埼玉県】産業廃棄物収集運搬業許可(積替え保管なし)の申請ガイドで詳しく解説しています。
※本記事は廃棄物処理法令および各都道府県の公表資料をもとに、全国に共通する一般的な内容をまとめたものです(2026年10月時点)。手数料、様式、申請方法、標準処理期間などは都道府県ごとに異なりますので、申請前に必ず申請先の最新の手引をご確認ください。


