【建設会社向け】工事と一緒に提案できる補助金の基礎知識|住宅省エネ2026・事業者向け・自治体の制度

建設会社向け 工事と一緒に提案できる補助金の基礎知識 5. 建設会社のための補助金

「補助金が使えるなら、工事をお願いしたい」。リフォームや店舗・工場の建築では、施主のこうした声が少なくありません。補助金の情報を工事の見積もりと一緒に出せる建設会社は、価格だけの比較から抜け出しやすく、受注率や単価の向上につながります。

この記事では、顧客に「工事+補助金」をセットで提案したい建設会社に向けて、まず押さえておきたい補助金の種類と、提案前に知っておくべきルールを整理します。

補助金の内容は年度や公募回ごとに変わります。本記事は2026年10月時点の公表情報をもとにしています。提案の際は必ず各制度の公式情報をご確認ください。

補助金と助成金の違い

補助金助成金
主な所管経済産業省・国土交通省・環境省・自治体など厚生労働省(雇用・人材関係)
受給の決まり方審査・予算の範囲内。要件を満たしても採択されないことがある要件を満たせば原則として受給できる
建設会社との関わり施主の工事費用に使えるものが多い主に自社の雇用・人材育成に使う

施主への提案で使うのは、主に「補助金」です。補助金は予算の上限に達すると締め切られ、審査があるものは不採択もありうる、という前提で説明することが大切です。

建設会社が押さえたい補助金は大きく3系統

系統主な対象の施主代表的な制度
① 国の住宅向け補助金個人の住宅所有者・新築の建築主住宅省エネ2026キャンペーン(みらいエコ住宅・先進的窓リノベ・給湯省エネ)
② 国の事業者向け補助金中小企業・小規模事業者中小企業成長加速化補助金、中小企業新事業進出補助金 など
③ 自治体の補助金地域の住民・事業者耐震診断・耐震改修、住宅リフォーム、ブロック塀撤去、空き家改修 など

① 住宅向け:住宅省エネ2026キャンペーン

国土交通省・経済産業省・環境省の3省が連携して実施している、住宅の省エネ化を支援する補助事業です。新築とリフォームの両方が対象で、リフォーム会社・工務店にとって最も身近な補助金です。

事業名主な対象工事補助額の目安(上限)
みらいエコ住宅2026事業新築:GX志向型住宅・長期優良住宅・ZEH水準住宅
リフォーム:断熱改修やエコ住宅設備の設置など
新築:GX志向型 110万円/戸、長期優良 最大95万円/戸、ZEH水準 最大55万円/戸(寒冷地は加算)
リフォーム:築年数と改修後の性能に応じて最大100万円/戸
先進的窓リノベ2026事業高性能な断熱窓への改修(内窓・外窓・ガラス交換など)最大100万円/戸
給湯省エネ2026事業高効率給湯器(ヒートポンプ給湯機など)の設置最大17万円/台
賃貸集合給湯省エネ2026事業既存賃貸集合住宅の給湯器(エコジョーズ等)の取替制度の定めによる

建設会社が知っておくべきポイント

  • 申請するのは施主ではなく事業者です。あらかじめ「住宅省エネ支援事業者」として登録した工事施工者・建築事業者が、住宅省エネポータルから交付申請を行います。
  • 交付された補助金は、事業者から施主に全額還元します(現金での支払いや工事代金への充当など)。
  • みらいエコ住宅の新築のうち、長期優良住宅・ZEH水準住宅は子育て世帯・若者夫婦世帯に限られます(GX志向型住宅はすべての世帯が対象)。
  • みらいエコ住宅・先進的窓リノベのリフォームは、1申請あたりの補助額の合計が5万円以上でないと申請できません。
  • 予算の上限に達した時点で受付が終了します。各事業の予算の消化状況は公式サイトで公表されています。
  • 国費が入っている自治体の補助制度とは、同じ工事で併用できないのが原則です。

② 事業者向け:建物の建設費も対象になる補助金

施主が中小企業の場合は、経済産業省・中小企業庁系の補助金が候補になります。ただし、多くの設備投資補助金は機械装置やシステムが中心で、建物の建設費は対象外です。建設会社が提案の軸にできるのは、次のように「建物費」が対象経費に含まれる制度です。

制度名建物費の扱い補助上限・補助率主な要件
中小企業成長加速化補助金工場・倉庫・販売施設等の建設、増築、改修、中古建物の取得(建物附属設備・付帯工事を含む)上限5億円・補助率1/2売上高10億円以上100億円未満で、売上高100億円を目指す中小企業。投資額1億円以上(税抜)
中小企業新事業進出補助金新事業に必要な建物費が対象経費に含まれる上限9,000万円(従業員数で変動)・補助率1/2既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出

事業者向け補助金の注意点

  • 申請者は施主(事業者)自身です。事業計画書を作り、審査を受けて採択される必要があります。
  • 原則として、交付決定の前に契約・発注・着工したものは補助の対象外です。「先に工事を始めて、あとから補助金」はできません。工程表は交付決定の時期から逆算して組みます。
  • 補助金が入るのは事業完了後の実績報告・確定検査を経てからです。それまでの工事代金は施主が立て替える必要があるため、資金繰り(つなぎ融資)の確認が欠かせません。
  • 公募回ごとに締切・要件・上限額が変わります。提案時点で公募中かどうか、次の公募予定があるかを必ず確認します。

③ 自治体の補助金:地域密着の工事で使いやすい

都道府県や市区町村も、住宅やまちづくりに関する独自の補助制度を設けています。代表的なものは次のとおりです。

  • 木造住宅の耐震診断・耐震改修:旧耐震基準(昭和56年5月以前に着工)の住宅を対象とするものが多い
  • 住宅リフォーム補助:市内の事業者による施工を条件とする例が多い
  • 危険ブロック塀の撤去・改修
  • 空き家の改修・除却
  • 介護保険の住宅改修費:手すりの取付けや段差解消など。要介護・要支援認定を受けた方が対象で、支給限度基準額は原則20万円(自己負担1〜3割)

自治体の制度は、工事前の申請が必須のものがほとんどです。年度の途中で予算に達して締め切られることもあります。施工エリアの自治体の制度を一覧にしておくと、見積もりの段階ですぐ案内できます。

「工事+補助金」提案を始める前に押さえたい5つのこと

チェック項目確認する内容
1. 申請者は誰か住宅省エネのように事業者が申請する制度か、事業者向け補助金のように施主が申請する制度か
2. 申請のタイミング契約・着工の前に申請や交付決定が必要か。対象となる契約日・着工日の期間はいつか
3. 予算と締切予算の消化状況、公募の締切、次回の公募予定
4. 併用の可否国の補助金と自治体の補助金を同じ工事で併用できるか
5. 書類作成を誰が担うか施主が申請者となる補助金の書類を、誰がどの立場で作るか(次の章を参照)

見積書は、補助対象の工事と対象外の工事を分けて作っておくと、申請書類の作成や実績報告がスムーズです。施工前・施工中・施工後の写真も、補助金では証拠書類として求められることが多いため、撮影ルールを社内で決めておきましょう。

注意!補助金の申請書類の作成代行は行政書士の業務です

2026年1月1日に施行された改正行政書士法では、行政書士でない者が、他人の依頼を受け、「手数料」や「コンサルタント料」など、いかなる名目によるかを問わず対価を受け取って、官公署に提出する書類の作成を業として行うことはできない、という点が明確になりました。違反した場合は行為者に1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科され、その法人にも100万円以下の罰金が科されます。

施主が申請者となる補助金(事業者向け補助金や多くの自治体補助金)について、建設会社が申請書類の作成を引き受け、その対価を「申請サポート料」として請求したり、工事代金に上乗せしたりすると、この規定に抵触するおそれがあります。

  • 建設会社が担ってよいこと:制度の紹介、見積書・図面・工事写真など施工者として用意する書類の提供、スケジュールの調整
  • 行政書士に任せるべきこと:施主が申請者となる申請書や事業計画書などの作成・提出の代行

なお、住宅省エネキャンペーンのように、事業者自身が申請者として手続きを行う制度は、制度の仕組みとして事業者が申請するものです。

「工事は建設会社、申請書類は行政書士」と役割を分けて連携すれば、法令を守りながら、施主にワンストップの提案ができます。

まとめ

  • 建設会社が提案に使える補助金は、住宅向け(住宅省エネ2026)・事業者向け・自治体の3系統
  • 住宅省エネは登録した事業者が申請し、補助金は施主に還元する
  • 事業者向け補助金は建物費が対象かどうかと、交付決定前に着工しないことが重要
  • 施主が申請者となる補助金の書類作成代行は、行政書士と連携して行う

このカテゴリーでは、今後、個別の補助金の詳しい使い方や、提案の進め方を順次解説していきます。

補助金申請のご相談

全国建設業許認可サポートセンター(金榮国際行政書士事務所)では、建設会社さまと連携し、施主さまの補助金申請書類の作成をサポートいたします。「工事+補助金」の提案を始めたい建設会社さまは、下記の補助金の相談フォームからお気軽にお問い合わせください。料金はサービス料金のページでご確認いただけます。

出典:住宅省エネ2026キャンペーン公式サイト(国土交通省・経済産業省・環境省)、国土交通省「住宅省エネ2026キャンペーン」資料、中小企業成長加速化補助金・中小企業新事業進出補助金の公募情報、総務省「行政書士制度」。補助額や要件は公募回・年度ごとに変わるため、最新の情報は各制度の公式サイトでご確認ください。

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