建設業許可の実務経験は何年必要?
4つのルートと「証明」のコツ
国家資格がなくても、建設業許可は「実務経験」で取ることができます。ただし大切なのは、何年の経験が必要かを正しく知ること、そしてその経験を書類で証明できるかどうかです。
この記事では、動画でお話しした建設業許可の実務要件(営業所技術者の実務経験)のポイントを、文章でもわかりやすくまとめました。
▲ 動画で解説しています。文章でまとめたものは下をご覧ください。
建設業許可の「実務要件」とは
建設業許可を受けるには、営業所ごとに、許可を受けたい業種の工事について専門的な知識や経験を持つ技術者を常勤で置く必要があります。この技術者が「営業所技術者」です。
営業所技術者になるには、その業種に対応した国家資格を持っているか、一定年数以上の実務経験があることが求められます。資格がない方が許可を目指す場合、この「実務経験」の要件をどう満たすかが最大のポイントになります。
名称が変わりました
2024年12月の法改正で、これまでの「専任技術者」は「営業所技術者」という名称に変わりました。呼び方が変わっただけで、求められる要件の中身は変わっていません。
ここでいう実務経験とは、建設工事の施工に関する技術上の経験のことです。工事現場の単なる雑務や、事務の仕事は含まれません。
実務経験は何年必要?4つのルート
必要な実務経験の年数は、学歴や資格によって変わります。一般建設業の場合、次の4つのルートがあります。
| ルート | 必要な実務経験 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 実務経験のみ | 10年以上 | 資格や学歴がなくても、許可を受けたい業種の経験が10年以上あれば要件を満たします。 |
| ② 指定学科を卒業 | 3年以上 / 5年以上 | 業種ごとに決められた学科(土木工学・建築学・電気工学・機械工学など)を卒業していれば短縮されます。専門学校は課程によって3年または5年です。 |
| ③ 施工管理技士の検定合格 | 3年以上 / 5年以上 | 2023年7月からの新しいルートです。対象外の業種があります(次の章で解説)。 |
| ④ 国家資格 | 不要 | 施工管理技士、建築士、電気工事士などの資格です。資格の種類によっては、合格後に一定の実務経験が必要なものもあります。 |
※ 特定建設業の場合は、上の要件に加えて「指導監督的実務経験」が必要になるなど、要件がより厳しくなります。
2023年7月の要件緩和(検定合格者)
2023年7月1日から、施工管理技士の検定に合格した方は、指定学科を卒業した方と同じように扱われるようになりました。
- 1級の第一次検定または第二次検定に合格:合格後3年以上の実務経験で要件を満たします(大学の指定学科卒業と同じ扱い)。
- 2級の第一次検定または第二次検定に合格:合格後5年以上の実務経験で要件を満たします(高校の指定学科卒業と同じ扱い)。
たとえば、建築施工管理技士の検定は「建築学」、土木施工管理技士の検定は「土木工学」の学科と同じ扱いになり、その学科に対応する業種で使えます。
対象外の業種に注意
この緩和は、指定建設業(土木一式・建築一式・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)と電気通信工事業には適用されません。これらの業種では、従来どおりのルートで要件を満たす必要があります。
実務経験はどうやって証明する?
実務経験の要件で、いちばん苦労するのが「証明」です。「10年やってきた」と申告するだけでは認められず、その期間に実際に工事に携わっていたことを書類で示す必要があります。主に、次の3種類の書類を用意します。
| 実務経験証明書 | どの会社(または個人事業)で、どの期間、どのような工事の経験を積んだかをまとめる申請書類です。経験を積んだ勤務先などが証明者になります。 |
|---|---|
| 工事の実績がわかる資料 | 工事の契約書・注文書・請求書(入金の記録とあわせて求められることもあります)など、その期間に該当する業種の工事を行っていたことがわかる資料です。 |
| 在籍していたことがわかる資料 | その期間に勤務先に在籍していたことを確認する資料です。年金の加入記録などが使われます。個人事業主の期間は、確定申告書の控えなどで確認します。 |
必要な書類は都道府県によって違います
何年分の書類が必要か、どの書類で代わりにできるかは、許可を出す都道府県によって異なります。申請先の手引きを必ず確認しましょう。
証明でつまずきやすいポイント
1. 昔の書類が残っていない
10年分となると、古い契約書や請求書が残っていないことがよくあります。前の勤務先に写しを借りられないか、別の資料で代わりにできないかを早めに確認しましょう。
2. 同じ期間を複数の業種で数えている
実務経験の期間は、原則として1つの業種にしか数えられません。たとえば同じ10年間を「内装仕上工事」と「大工工事」の両方の経験として使うことは、原則としてできません。
3. 経験した工事の「業種」がずれている
自分では「とび・土工工事」のつもりでも、書類上は別の業種の工事と判断されることがあります。注文書や請求書に書かれた工事の内容が、許可を受けたい業種と合っているかが見られます。
4. 前の勤務先の協力が得られない
実務経験証明書は、原則として経験を積んだ勤務先が証明します。会社がなくなっている場合や、協力を得にくい場合は、どのように証明するかを事前に相談しておくことが大切です。
申請までの進め方
- どのルートで要件を満たすか確認する学歴・資格・検定の合格歴から、必要な年数を確認します。
- 経験を積んだ期間と業種を書き出す勤務先ごとに、期間と主に携わった工事の種類を整理します。
- 証明に使える書類を集める契約書・注文書・請求書、年金の加入記録、確定申告書の控えなどを集めます。
- 申請先の手引きと照らし合わせる都道府県ごとのルールに合っているかを確認し、足りない書類を補います。
- 申請書類を作成して申請する実務経験証明書をはじめとする書類を作成し、許可の申請をします。
「自分の経験で許可が取れるのか」「どの書類が使えるのか」は、早い段階で確認しておくほど、準備の手戻りが少なくなります。
よくあるご質問
資格がなくても建設業許可は取れますか?
取れます。営業所技術者(旧:専任技術者)は、国家資格がなくても、許可を受けたい業種について原則10年以上の実務経験があれば要件を満たします。指定学科を卒業している場合や、施工管理技士の検定に合格している場合は、必要な年数が短くなります。
一人親方の時の経験も実務経験になりますか?
なります。個人事業主として工事をしていた期間も実務経験として数えられます。その場合は、確定申告書の控えや、工事の注文書・請求書などで、その期間に工事をしていたことを証明します。
昔の勤務先の書類が残っていない場合はどうなりますか?
勤務先が保管している契約書や請求書の写しを借りられないか相談するほか、年金の加入記録などで在籍期間を確認する方法があります。どの資料で代わりに証明できるかは都道府県によって異なるため、早めに専門家へご相談ください。
2023年7月の要件緩和は、どの業種でも使えますか?
使えません。施工管理技士の検定合格者の実務経験年数を短縮する緩和は、指定建設業(土木一式・建築一式・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)と電気通信工事業には適用されません。
「自分の経験で許可が取れる?」動画でも詳しく解説しています
実務経験の年数の数え方や、証明に使える書類の確認から、
キャンピングカー行政書士がお手伝いします。
金榮国際行政書士事務所 行政書士 金森勇征
※ この記事は一般的な解説です。必要な書類や運用は都道府県によって異なりますので、実際の申請の際は許可行政庁の手引きをご確認いただくか、専門家にご相談ください。


