建設業許可には「一般建設業」と「特定建設業」の2つの区分があります。取引先の許可番号に「般-7」や「特-6」と書かれているのを見て、意味が気になった方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、両者の違いは元請として受けた工事で、下請にどれだけの金額を出すかです。発注者から直接請け負った1件の工事で、下請契約の総額が5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上になる場合は特定建設業許可が必要で、それ以外は一般建設業許可で足ります。また、許可番号の「般」「特」は一般・特定の別を、その後ろの数字は許可を行った年度(和暦)を表しています。
この記事では、一般建設業と特定建設業の違い、令和7年2月の金額改正、要件の差、そして許可番号の見方を、国土交通省や都道府県の公表資料をもとに解説します。
一般建設業と特定建設業の違いは「下請に出す金額」
国土交通省の「建設業の許可とは」では、発注者から直接請け負った1件の工事について、下請代金の総額が5,000万円(建築工事業は8,000万円)以上となる下請契約を締結する場合に、特定建設業の許可が必要とされています。
| 区分 | 必要となる場面 |
|---|---|
| 特定建設業 | 元請として受けた1件の工事で、下請契約の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)になる場合 |
| 一般建設業 | 上記以外(元請で受けても下請総額が基準未満、または下請として施工する場合など) |
ここで誤解されやすいのが、「大きな工事を受けるには特定が必要」という考え方です。国土交通省の説明では、元請として請け負う金額自体には制限がないとされています。1億円の工事を元請で受けても、自社施工が中心で下請総額が5,000万円未満なら一般建設業許可で施工できます。
また、下請として施工する場合も制限はありません。大阪府の手引では、下請負人がさらに孫請に出す金額が基準以上であっても、その下請負人は特定建設業許可を受ける必要はないと説明されています。特定建設業許可が問題になるのは、あくまで「発注者から直接請け負った元請」の立場のときです。
下請代金に材料費は含めない
大阪府の手引や島根県の「建設業法Q&A」では、特定建設業の判定に使う下請代金には、元請負人が提供する材料等の価格は含めないとされています。許可の要否を判断する500万円基準(軽微な建設工事の判定)では材料費を加算するのと逆なので注意してください。500万円基準の考え方は500万円ルールの解説記事をご覧ください。
令和7年2月1日の改正:4,500万円→5,000万円、7,000万円→8,000万円
特定建設業許可が必要となる下請代金の額は、令和7年2月1日に引き上げられました。国土交通省の報道発表(令和6年12月6日)によると、改正内容は次のとおりです。
| 項目 | 改正前 | 改正後(令和7年2月1日〜) |
|---|---|---|
| 特定建設業許可・施工体制台帳の作成が必要な下請代金の額 | 4,500万円(建築一式7,000万円) | 5,000万円(建築一式8,000万円) |
| 専任の監理技術者等の配置が必要な請負代金の額 | 4,000万円(建築一式8,000万円) | 4,500万円(建築一式9,000万円) |
検索すると「4,500万円」「7,000万円」という古い基準で書かれた情報も残っています。現在の基準は5,000万円・8,000万円です。
工事の途中で下請総額が基準を超えた場合
島根県の「建設業法Q&A」では、大幅な工事内容の変更等により、工事の途中で下請契約の額が5,000万円(建築一式は8,000万円)以上になった場合の扱いが取り上げられ、主任技術者から監理技術者への交代が必要とされています。当初から下請総額が膨らむ可能性がある工事は、特定建設業許可の要否も含めて早めに確認しておきましょう。
特定建設業の要件は一般より厳しい
特定建設業は、多くの下請業者を使う元請として下請保護の責任を負うため、要件が厳しく設定されています。主な違いは「営業所技術者等」と「財産的基礎」です。
営業所技術者(旧:専任技術者)の違い
2024年12月13日施行の改正により、「専任技術者」は「営業所技術者」(特定建設業は「特定営業所技術者」)という名称になりました。
- 一般建設業:指定学科卒業+実務経験、10年以上の実務経験、国家資格者など
- 特定建設業:国家資格者、または一般の要件に加えて元請として4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的な実務経験を有する者、大臣特別認定者
さらに、土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業の7業種(指定建設業)は、特定建設業の場合、国家資格者等に限られます。実務経験だけでは特定営業所技術者になれない点に注意が必要です。
財産的基礎の違い
| 区分 | 財産的基礎の要件 |
|---|---|
| 一般建設業(いずれか) | 自己資本500万円以上/500万円以上の資金調達能力/許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績 |
| 特定建設業(すべて) | 欠損の額が資本金の20%を超えない/流動比率75%以上/資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上 |
特定建設業は3つの条件をすべて満たす必要があります。宮城県のQ&Aでは、特定建設業者で自己資本が4,000万円以下になった場合は更新ができず、一般建設業で新規申請することになると案内されています。更新時の決算内容にも気を配る必要があります。
一般と特定は業種ごとに選べる
一般・特定の区分は、業種ごとに決まります。宮城県のQ&Aでは、同一業種について一般と特定の両方を取得することはできないものの、異なる業種であれば一般と特定を組み合わせて取得できるとされています。たとえば「建築工事業は特定、内装仕上工事業は一般」という形です。
一般建設業の許可を持つ業者が同じ業種で特定建設業へ切り替える場合や、その逆の場合は、国土交通省の申請区分でいう「般・特新規」の申請になります。
許可番号の見方:「般-7」「特-6」とは?
建設業許可の番号は、たとえば次のように表記されます。
- 国土交通大臣許可(特-6)第xxxx号
- ○○県知事許可(般-7)第xxxx号
長野県が公表している「許可通知書の見方」では、許可番号のうち「般」は一般建設業、「特」は特定建設業を表し、その後の数字は許可を行った年度を表すと説明されています。同資料の記載例では、令和2年4月16日付の許可が「(般-2)」となっており、数字が和暦の年度であることが分かります。佐賀県の許可票の説明でも、括弧内の数字は許可年度で、許可の有効期間(5年)ごとに更新のたびに切り替わると案内されています。
つまり「般-7」は「一般建設業で、令和7年度に許可(または更新)されたもの」、「特-6」は「特定建設業で、令和6年度に許可(または更新)されたもの」という意味です。平成時代の許可であれば、平成の年度の数字が入ります。更新すると数字が変わるため、名刺や看板、ホームページに許可番号を載せている場合は、更新後に最新の番号へ差し替えましょう。
大臣許可か知事許可かは、番号の冒頭の「国土交通大臣」「○○県知事」の部分で分かります。違いは知事許可と大臣許可の違いで解説しています。取引先の許可内容は、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」でも確認できます。
よくある質問
Q. 元請で1億円の工事を受けるには特定建設業許可が必要ですか?
請負金額だけでは決まりません。下請に出す金額の総額が5,000万円(建築一式工事は8,000万円)未満であれば、一般建設業許可で施工できます。
Q. 下請として大きな工事に入る場合はどうですか?
下請として施工する場合は、一般建設業許可で問題ありません。さらに孫請に出す金額が大きくても、下請の立場であれば特定建設業許可は不要です。
Q. 許可番号の数字が取引先によって違うのはなぜですか?
括弧内の数字は許可(更新)をした年度を表すため、許可を受けた時期によって異なります。数字が大きいほど優れているという意味ではありません。
Q. まずは一般で取り、後から特定に切り替えられますか?
可能です。要件を満たせば「般・特新規」として特定建設業の許可を申請できます。特定の財産的基礎(資本金2,000万円以上など)を満たせるよう、事前に計画しておくとスムーズです。
まとめ
- 特定建設業が必要なのは、元請として受けた1件の工事で下請総額が5,000万円(建築一式8,000万円)以上になる場合
- 元請の請負金額自体や、下請としての施工には制限がない
- 令和7年2月1日に4,500万円→5,000万円、7,000万円→8,000万円へ引上げ
- 特定は営業所技術者・財産的基礎の要件が厳しく、指定建設業7業種は国家資格者等に限る
- 許可番号の「般」「特」は区分、後ろの数字は許可年度(和暦)で、更新ごとに変わる
一般か特定か迷ったら
「今の受注規模なら一般で足りるのか」「将来特定を取るには何を準備すべきか」は、受注の形態や決算内容によって答えが変わります。金榮国際行政書士事務所(全国建設業許認可サポートセンター)では、全国の建設業者様からのご相談をお受けしています。ご相談・お見積りページからお気軽にお問い合わせください。
参考(公的情報)
- 国土交通省「建設業の許可とは」
- 国土交通省「許可の要件」
- 国土交通省「許可申請の手続き」
- 国土交通省 報道発表(令和6年12月6日)
- 大阪府「建設業許可の手引(第1章 建設業許可の制度(概要))」
- 島根県「建設業法Q&A」(令和8年3月改訂版)
- 宮城県「建設業許可に関するQ&A」
- 長野県「許可通知書の見方」
- 佐賀県「建設業の許可票」
- 国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」
※本記事は2026年10月時点の公表情報をもとに作成しています。最新の取扱いは許可行政庁の手引き等でご確認ください。


