建設業許可を取るための条件は、建設業法第7条で定められた4つの許可要件(①経営業務の管理を適正に行う能力、②営業所技術者等、③誠実性、④財産的基礎等)を満たし、さらに第8条の欠格要件に一つも当てはまらないことです。①には健康保険・厚生年金保険・雇用保険への適切な加入も含まれます。
「資格がないと取れないのでは」と心配される方も多いのですが、国家資格がなくても、実務経験や学歴で要件を満たせるルートがあります。この記事では、個人事業主・一人親方・中小建設会社の社長が最初に確認すべき要件を一覧で整理し、詳しい解説記事への入口としてまとめました。
そもそも建設業許可が必要になるのはどんなとき?
公共工事か民間工事かを問わず、建設工事の完成を請け負うことを営業とする場合には、建設業法第3条の許可が必要です。ただし「軽微な建設工事」だけを請け負う場合は許可がなくても営業できます。
- 建築一式工事:1件の請負代金が1,500万円未満の工事、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事
- 建築一式工事以外:1件の請負代金が500万円未満の工事
これらの金額は消費税・地方消費税を含んだ額で判断します。元請から「許可を取ってほしい」と言われた、500万円以上の工事を受けたい、という段階で要件の確認を始めるのが一般的です。
建設業許可の要件は「4つ+欠格要件」
国土交通省の「許可の要件」ページに沿って整理すると、次のとおりです。
| 区分 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ①経営業務の管理を適正に行う能力 | 常勤役員等(いわゆる経管)の配置+社会保険への加入 | 建設業の経営経験などで判断 |
| ②営業所技術者等 | 営業所ごとに、常勤・専任の技術者を置く | 旧称は「専任技術者」。資格・学歴・実務経験で判断 |
| ③誠実性 | 請負契約で不正・不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと | 法人は役員等、個人は本人・支配人なども対象 |
| ④財産的基礎等 | 一般建設業は自己資本500万円以上など | 特定建設業はより厳しい基準 |
| 欠格要件 | 破産・拘禁刑・一定の罰金刑・暴力団関係など | 一つでも該当すると許可されない |
以下、要件ごとに要点を見ていきます。
要件1:経営業務の管理を適正に行う能力(経管+社会保険)
常勤役員等(経営業務の管理責任者)
法人では常勤の役員のうち1人、個人では本人または支配人のうち1人が、建設業の経営に関する一定の経験を持っていることが求められます。関東地方整備局の手引きでは、たとえば建設業に関し5年以上、経営業務の管理責任者としての経験を有する者などのパターンが示されています。経験年数の数え方や証明書類は複雑なので、詳しくは経営管理要件(経管)の解説記事をご覧ください。
社会保険への加入
健康保険・厚生年金保険・雇用保険について、適用事業所に該当するすべての営業所で届出をしていることが要件です(建設業法施行規則第7条第2号)。愛知県のページでは、適正な社会保険への加入が令和2年10月1日から許可要件になったことが案内されています。法人は社長1人でも健康保険・厚生年金保険の適用事業所になる一方、個人事業所は従業員数などによって扱いが変わります。個人の場合は個人事業主・一人親方が建設業許可を取る条件で詳しく解説しています。
要件2:営業所技術者(旧:専任技術者)
2024年12月13日施行の改正により、従来の「専任技術者」は「営業所技術者」(特定建設業は「特定営業所技術者」)と呼ばれるようになりました。許可を受けたい業種ごとに、各営業所へ常勤・専任で置く必要があります。
一般建設業の場合、次のいずれかに当てはまれば営業所技術者になれます。
- 指定学科を卒業し、高校卒業後5年以上/大学卒業後3年以上の実務経験がある
- 専門学校の指定学科を卒業し、5年以上(専門士・高度専門士は3年以上)の実務経験がある
- 許可を受けたい業種について10年以上の実務経験がある
- 施工管理技士・建築士・電気工事士などの国家資格等を持っている
- 複数業種にわたる一定の実務経験がある
令和5年7月1日からは、技術検定の第一次検定合格者も指定学科卒業者と同様に扱われるようになりました。業種ごとの資格は営業所技術者の要件と資格一覧、資格がない方は実務経験で取る方法をご確認ください。なお、営業所技術者が退職などで不在になると許可取消しの対象となるため、許可後の管理も重要です。
要件3:誠実性
請負契約に関して「不正な行為」または「不誠実な行為」をするおそれが明らかな者でないことが求められます。関東地方整備局の手引きでは、不正な行為とは請負契約の締結や履行の際の詐欺・脅迫・横領など法律に違反する行為、不誠実な行為とは工事内容・工期・天災等による損害の負担などについて契約に違反する行為と説明されています。法人では役員等や令3条使用人(支店長・営業所長など)、個人では本人や支配人なども対象です。
要件4:財産的基礎(自己資本500万円など)
一般建設業では、次のいずれかに当てはまる必要があります。
- 自己資本が500万円以上
- 500万円以上の資金調達能力がある(預金残高証明書・融資証明書などで確認)
- 許可申請の直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績がある
特定建設業では「欠損の額が資本金の20%を超えない」「流動比率75%以上」「資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上」のすべてを満たす必要があります。残高証明の基準日の扱いや自己資本の計算方法は財産的基礎(500万円・残高証明)の解説で詳しく説明しています。
欠格要件:一つでも当てはまると許可は出ない
4つの要件を満たしていても、建設業法第8条の欠格要件に該当すると許可は受けられません。主なものは次のとおりです。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 許可を取り消されてから5年を経過しない者
- 営業停止・営業禁止の期間が経過しない者
- 拘禁刑以上の刑に処せられ、刑の執行を終わる等してから5年を経過しない者
- 建設業法や一定の法令・罪(傷害・暴行・脅迫・背任など)で罰金刑に処せられ、5年を経過しない者
- 暴力団員、または暴力団員でなくなってから5年を経過しない者
法人では役員等や令3条使用人も対象です。また、申請書類に重要な事項の虚偽記載があった場合も許可されません。前科の影響範囲など詳しくは建設業許可の欠格要件の解説をご覧ください。
「資格なし」でも取れる?要件チェックの順番
国家資格がなくても、実務経験10年や指定学科+実務経験で営業所技術者の要件を満たせれば許可は取れます。実際の相談では、次の順番で確認すると判断が早くなります。
- 欠格要件に該当する人(役員・本人・支配人など)がいないか
- 経管になれる経営経験を、書類で証明できるか
- 取りたい業種の営業所技術者がいるか(資格・学歴・実務経験)
- 自己資本500万円以上、または500万円以上の残高証明・融資証明が用意できるか
- 社会保険の加入手続きが済んでいるか
多くの方がつまずくのは2と3の「証明」の部分です。経験があっても、確定申告書・契約書・請求書などの裏付け資料がそろわないと認められないことがあり、どの資料が使えるかは許可行政庁(都道府県・地方整備局)により異なります。
よくある質問
一人親方でも建設業許可は取れますか?
取れます。本人が経管と営業所技術者の両方の要件を満たせば、1人でも申請できます。社会保険の扱いは法人か個人かによって異なりますので、個人事業主向けの記事もあわせてご確認ください。
資本金が500万円ないと許可は取れませんか?
一般建設業では、資本金そのものではなく自己資本(純資産)や資金調達能力で判断します。自己資本が500万円未満でも、500万円以上の預金残高証明書や融資証明書で要件を満たせる場合があります。
社会保険に未加入のままでも申請できますか?
適用事業所に該当するのに届出をしていない場合は、要件を満たしません。申請前に加入手続きを済ませておく必要があります。
要件は全国共通ですか?
要件そのものは建設業法で全国共通ですが、確認資料の種類や残高証明の有効期間などの運用は都道府県・地方整備局により異なります。申請先の手引きを必ず確認してください。
まとめ
- 建設業許可の要件は、経管+社会保険、営業所技術者、誠実性、財産的基礎の4つ
- さらに欠格要件に一つも該当しないことが必要
- 国家資格がなくても、実務経験や学歴で営業所技術者になれるルートがある
- 一番の難所は経験や財産の「証明書類」をそろえること
要件を満たしているか不安な方へ
「経管の経験年数が足りているか分からない」「実務経験を証明する書類が手元にない」といった段階でも、状況を整理すれば取れる道が見つかることがあります。全国建設業許認可サポートセンターでは、要件の確認からご相談いただけます。無理に依頼をおすすめすることはありませんので、まずはご相談・お見積りページからお気軽にお問い合わせください。
参考(公的情報)
- 国土交通省「建設業の許可とは」
- 国土交通省「許可の要件」
- 関東地方整備局「建設業許可申請・変更の手引き」(令和7年12月更新)
- 愛知県「許可の要件」
- 日本年金機構「適用事業所と被保険者」
- 国土交通省 報道発表(令和5年5月12日)技術者制度の見直し
- e-Gov法令検索「建設業法」
※本記事は2026年10月時点の公表情報をもとに作成しています。最新の取扱いは許可行政庁の手引き等でご確認ください。


