営業所技術者(旧称:専任技術者)は、建設業許可を受けたい業種ごとに、各営業所へ常勤・専任で置かなければならない技術者です。一般建設業なら、①国家資格等を持つ人、②指定学科卒業+一定の実務経験がある人、③10年以上の実務経験がある人などが要件を満たします。令和5年7月1日からは、施工管理技士などの技術検定で第一次検定に合格した人も指定学科卒業者と同じように扱われるようになり、要件を満たせる人の幅が広がりました。
この記事では、営業所技術者の要件と、業種別の代表的な資格を一覧で整理します。「自分の資格でどの業種が取れるのか」「資格がなくても大丈夫か」を確認する際の参考にしてください。
営業所技術者とは?専任技術者から名称が変わりました
2024年12月13日施行の建設業法改正により、「専任技術者」は「営業所技術者」に、特定建設業の場合は「特定営業所技術者」に名称が変わりました。役割は従来と同じで、営業所で請負契約の締結や履行を技術面から支える人です。
- 許可を受けたい業種ごとに必要(1人で複数業種を兼ねることは可能)
- 営業所に常勤し、その職務に専ら従事すること(専任)
- 退職などで不在になると、許可取消しの対象となる
なお、建設業法第26条では、工事現場に置く主任技術者も第7条第2号イ・ロ・ハに該当する者とされており、一般建設業の営業所技術者と同じ基準で判断されます。
一般建設業の営業所技術者になれる人(要件一覧)
建設業法第7条第2号と国土交通省・関東地方整備局の資料に沿って整理すると、一般建設業では次のいずれかに当てはまれば要件を満たします。
| ルート | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 大学・高等専門学校の指定学科卒業 | 卒業後3年以上 |
| 高等学校・中等教育学校の指定学科卒業 | 卒業後5年以上 |
| 専修学校の指定学科卒業(専門士・高度専門士) | 卒業後3年以上 |
| 専修学校の指定学科卒業(上記以外) | 卒業後5年以上 |
| 1級の第一次検定または第二次検定に合格 | 合格後3年以上 |
| 2級の第一次検定または第二次検定に合格 | 合格後5年以上 |
| 学歴・資格を問わない | 10年以上 |
| 国家資格等の保有者 | 資格により不要、または資格取得後の一定期間 |
| 複数業種の実務経験 | 関連業種と合計12年以上、うち対象業種8年超 など |
実務経験はいずれも「許可を受けたい業種」についての経験です。実務経験のみで申請する場合の証明方法は、実務経験で建設業許可を取る方法で詳しく解説しています。
指定学科の例
指定学科は建設業法施行規則第1条で業種ごとに決まっています。国土交通省の一覧から代表例を挙げます。
- 土木工事業:土木工学(農業土木・森林土木・造園などを含む)、都市工学、衛生工学、交通工学に関する学科
- 建築工事業・大工工事業・内装仕上工事業:建築学または都市工学に関する学科
- 電気工事業:電気工学または電気通信工学に関する学科
- 管工事業:土木工学、建築学、機械工学、都市工学または衛生工学に関する学科
- とび・土工工事業、塗装工事業、解体工事業:土木工学または建築学に関する学科
令和5年7月施行:1次検定合格で要件が緩和
国土交通省は令和5年5月12日に施工技術検定規則と建設業法施行規則の改正を公表し、一般建設業の営業所技術者(当時の名称は営業所専任技術者)の要件を令和5年7月1日から緩和しました。
- 1級の第一次検定合格者:大学の指定学科卒業者と同等とみなされ、合格後3年以上の実務経験で要件を満たす
- 2級の第一次検定合格者:高等学校の指定学科卒業者と同等とみなされ、合格後5年以上の実務経験で要件を満たす
栃木県の案内では、検定種目ごとに次の指定学科とみなすと整理されています。
| 検定種目 | みなされる指定学科 |
|---|---|
| 土木施工管理、造園施工管理 | 土木工学 |
| 建築施工管理 | 建築学 |
| 電気工事施工管理 | 電気工学 |
| 管工事施工管理 | 機械工学 |
注意点として、指定建設業7業種(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)と電気通信工事業はこの緩和の対象外です。たとえば1級建築施工管理技士補の方が内装仕上工事業で3年の実務を積めば要件を満たせますが、建築工事業でこのルートは使えません。合格を証明するため、合格証明書と実務経験証明書の添付が必要になります(関東地方整備局の手引き)。
業種別・営業所技術者になれる代表的な資格一覧
下表は、長崎県が公表している「主任技術者となりうる資格要件一覧表」をもとに、一般建設業の代表的な資格をまとめたものです(前述のとおり、主任技術者と一般建設業の営業所技術者は同じ基準です)。全資格を網羅したものではありません。
| 業種 | 代表的な資格(実務経験の条件があるものは併記) |
|---|---|
| 土木工事業 | 1級・2級建設機械施工技士、1級土木施工管理技士、2級土木施工管理技士(土木)、技術士(建設部門など) |
| 建築工事業 | 1級建築施工管理技士、2級建築施工管理技士(建築)、1級・2級建築士 |
| 大工工事業 | 1級建築施工管理技士、2級建築施工管理技士(躯体・仕上げ)、1級・2級建築士、木造建築士、技能検定1級(建築大工・型枠施工) |
| とび・土工工事業 | 1級・2級建設機械施工技士、1級土木施工管理技士、2級土木施工管理技士(土木・薬液注入)、1級建築施工管理技士、2級建築施工管理技士(躯体)、技能検定1級(とび・型枠施工・コンクリート圧送施工など)、技能検定2級(同)合格後3年以上 |
| 電気工事業 | 1級・2級電気工事施工管理技士、第一種電気工事士、第二種電気工事士(免状交付後3年以上の実務経験)、技術士(電気電子部門・建設部門) |
| 管工事業 | 1級・2級管工事施工管理技士、給水装置工事主任技術者(取得後1年以上の実務経験)、技能検定1級(配管〈建築配管作業〉など)、技能検定2級(同)合格後3年以上 |
| 内装仕上工事業 | 1級建築施工管理技士、2級建築施工管理技士(仕上げ)、1級・2級建築士、技能検定1級(内装仕上げ施工・畳製作・表装)、技能検定2級(同)合格後3年以上 |
| 塗装工事業 | 1級土木施工管理技士、2級土木施工管理技士(鋼構造物塗装)、1級建築施工管理技士、2級建築施工管理技士(仕上げ)、技能検定1級(塗装・路面標示施工) |
| 解体工事業 | 1級土木施工管理技士、2級土木施工管理技士(土木)、1級建築施工管理技士、2級建築施工管理技士(建築・躯体)、技術士(建設部門など)、解体工事施工技士 ※施工管理技士・技術士は平成27年度までの合格者等の場合、1年以上の実務経験または登録解体工事講習の受講が別途必要 |
| 消防施設工事業 | 甲種・乙種消防設備士 |
2級施工管理技士は「種別」によって対象業種が変わる点に注意してください。たとえば2級建築施工管理技士でも、種別が「建築」なら建築工事業、「仕上げ」なら内装仕上工事業や塗装工事業が対象です。また、技能検定や登録基幹技能者など、表にない資格でも認められるものがあります。正確な対応関係は、申請先の都道府県・地方整備局が公表している資格コード一覧で確認してください。
特定建設業の営業所技術者(特定営業所技術者)の要件
特定建設業の許可を受ける場合は、一般よりも要件が厳しくなります。国土交通省のページでは、次のいずれかとされています。
- 1級施工管理技士・1級建築士・技術士などの国家資格者
- 一般建設業の営業所技術者の要件を満たし、かつ元請として4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的な実務経験がある者
- 国土交通大臣の特別認定を受けた者
ただし、指定建設業7業種(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)では、国家資格者等に限られ、実務経験による要件は認められません。
営業所技術者で注意したい「常勤性」と「専任性」
営業所技術者は、資格や経験があるだけでは足りず、その営業所に常勤していることが求められます。常勤性の確認資料は許可行政庁によって異なり、関東地方整備局の手引きでは、健康保険・厚生年金の標準報酬決定通知書の写し、住民税特別徴収税額通知書の写しなどが例として挙げられています。
東京都の「建設業許可申請・変更の手引」(令和8年度版)では、兼務について次のように整理されています。
- 同一営業所内であれば、両方の基準を満たす人が経管(常勤役員等)と営業所技術者を1人で兼ねられる
- 同一営業所内であれば、1人で複数業種の営業所技術者を兼ねられる
- 同じ法人でも、他の営業所の営業所技術者を兼ねることはできない
- 他社の常勤役員・代表取締役などになっている人は「専任かつ常勤」とはみなされない
また、関東地方整備局の手引きでは、許可取得後に営業所技術者等が退職し後任が不在となった場合は要件の欠如として許可取消し(建設業法第29条第1項第1号)になると明記されています。後任候補をあらかじめ確保しておくことが大切です。
技術者が退職した場合の届出期限については、許可後の変更届の手続きとして別途確認が必要です。
よくある質問
資格がない場合、営業所技術者になれませんか?
なれます。許可を受けたい業種で10年以上の実務経験があれば要件を満たします。指定学科を卒業していれば、実務経験は3年または5年に短縮されます。
2級施工管理技士の第一次検定(技士補)だけでも使えますか?
令和5年7月1日以降は、2級の第一次検定合格後に5年以上の実務経験があれば、一般建設業の営業所技術者の要件を満たせます。ただし指定建設業7業種と電気通信工事業は対象外です。
第二種電気工事士で電気工事業の許可は取れますか?
第二種電気工事士は、免状の交付後3年以上の実務経験がある場合に電気工事業の営業所技術者として認められます。第一種電気工事士は実務経験の追加条件なしで対象です。
1人で複数業種の営業所技術者を兼ねられますか?
同じ営業所であれば、要件を満たす業種について1人で複数業種を担当できます。
まとめ
- 専任技術者は2024年12月から「営業所技術者」に名称変更
- 一般建設業は国家資格、指定学科+実務経験、10年の実務経験などで要件を満たす
- 令和5年7月から1級1次合格後3年、2級1次合格後5年の実務経験でも可(指定建設業・電気通信工事業を除く)
- 2級施工管理技士は種別で対象業種が変わるため、資格コード一覧での確認が必須
他の許可要件については建設業許可の要件まとめもあわせてご覧ください。
資格や経験で要件を満たせるか迷ったら
「持っている資格で取りたい業種に対応しているか」「実務経験の証明書類がそろうか」は、ケースごとに判断が分かれやすいところです。全国建設業許認可サポートセンターでは、資格証や経歴をもとに要件の当てはめをお手伝いしています。まずはご相談・お見積りページから状況をお聞かせください。
参考(公的情報)
- 国土交通省「許可の要件」
- 国土交通省「指定学科一覧」等
- 国土交通省 報道発表(令和5年5月12日)「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令」等の公布
- 栃木県「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部改正について」
- 福岡県「営業所専任技術者の要件緩和について」
- 関東地方整備局「建設業許可申請・変更の手引き」(令和7年12月更新)
- 東京都「建設業許可申請・変更の手引」(令和8年度版)
- 長崎県「主任技術者となりうる資格要件一覧表」
- 中部地方整備局「監理技術者又は主任技術者となり得る国家資格等一覧」
- e-Gov法令検索「建設業法」(第7条・第26条)
※本記事は2026年10月時点の公表情報をもとに作成しています。最新の取扱いは許可行政庁の手引き等でご確認ください。


