下水道が整備されていない地域の住宅や店舗などで、浄化槽の設置工事を請け負うためには、浄化槽法に基づく「浄化槽工事業の登録」または「特例浄化槽工事業者の届出」が必要です。どちらの手続が必要かは、建設業許可の有無によって決まります。
本記事では、埼玉県の公式案内と「浄化槽工事業登録・特例浄化槽工事業届出の手引き」をもとに、登録と届出の違い、要件、必要書類、申請方法、登録後の義務を整理し、あわせて行政書士に手続を依頼するメリットをご紹介します。
「登録」と「特例届出」の違い|まずはどちらが必要か確認しましょう
浄化槽工事業の手続は、建設業許可のうち「土木工事業」「建築工事業」「管工事業」のいずれかを持っているかどうかで、次の2つに分かれます。
| 項目 | 浄化槽工事業の登録 | 特例浄化槽工事業者の届出 |
|---|---|---|
| 対象者 | 土木・建築・管工事業のいずれの建設業許可も持っていない事業者 | 土木・建築・管工事業のいずれかの建設業許可を持っている事業者 |
| 根拠条文 | 浄化槽法第21条 | 浄化槽法第33条 |
| 有効期間・更新 | 5年(更新が必要) | なし(更新不要) |
| 手数料(埼玉県) | 新規33,000円/更新26,000円 | 不要 |
| 標識の名称 | 浄化槽工事業者登録票 | 浄化槽工事業者届出済票 |
とび・土工工事業や電気工事業など、上記3業種以外の建設業許可しか持っていない場合は「特例届出」ではなく「登録」が必要です。
都道府県ごとに手続が必要
登録・届出はいずれも、浄化槽工事を行う都道府県ごとに必要です。営業所が県外にあっても、埼玉県内で浄化槽工事を行う場合は埼玉県知事への登録または届出が必要です。たとえば埼玉県に営業所があり、東京都でも工事を行う場合は、埼玉県と東京都の両方で手続を行います。
浄化槽保守点検業とは別の手続です
浄化槽の「設置工事」と「保守点検」は別の制度です。保守点検業を営む場合は、工事業とは別に保守点検業者の登録が必要で、埼玉県では窓口も異なります(県の環境管理事務所、またはさいたま市・川越市・川口市・越谷市)。
浄化槽工事業の登録・届出の要件
要件1:営業所ごとに浄化槽設備士を置くこと
登録・届出のいずれの場合も、営業所ごとに「浄化槽設備士」を置かなければなりません(浄化槽法第29条)。浄化槽設備士は国家資格で、浄化槽設備士試験に合格するか、所定の講習を修了して免状の交付を受けた方が該当します。
また、浄化槽工事を行う際には、浄化槽設備士が工事を実地に監督する必要があります。施工体制を整えるうえでも、設備士の確保が最も重要なポイントです。
要件2:登録拒否事由に該当しないこと(登録の場合)
次のような場合は登録を受けることができません(浄化槽法第24条)。
- 浄化槽法に違反して罰金以上の刑に処せられ、執行を終わった日等から2年を経過していない者
- 浄化槽工事業の登録を取り消され、その日から2年を経過していない者
- 事業の停止を命じられ、その停止期間が経過していない者
- 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者
- 法人で、役員に上記に該当する者がいる場合
- 申請書や添付書類に重要な虚偽の記載や記載漏れがある場合
申請・届出に必要な書類(埼玉県の場合)
浄化槽工事業の登録(新規・更新)
- 浄化槽工事業登録申請書(様式第1号)
- 誓約書(様式第2号)
- 工事業登録申請者の調書(様式第3号)※法人は役員全員分、個人は本人分
- 浄化槽設備士の調書(様式第4号)
- 浄化槽設備士免状(または浄化槽設備士証)の写し
- 浄化槽設備士の住民票の抄本
- 法人の場合:履歴事項全部証明書 / 個人の場合:事業主の住民票の抄本
特例浄化槽工事業者の届出(新規)
- 特例浄化槽工事業者届出書(様式第11号)
- 建設業許可通知書の写し(または建設業許可証明書の原本)
- 浄化槽設備士の調書(様式第4号)
- 浄化槽設備士免状(または浄化槽設備士証)の写し
- 浄化槽設備士の住民票の抄本
住民票と履歴事項全部証明書は発行後3か月以内のものを用意し、住民票はマイナンバーの記載がないものを使用します。書面で提出する場合は正本・副本の2部を作成します。
埼玉県での申請方法と流れ
STEP1:区分の確認と浄化槽設備士の確保
建設業許可の有無から「登録」か「特例届出」かを判断し、営業所ごとに置く浄化槽設備士を確認します。
STEP2:書類の作成・収集
申請書・誓約書・調書を作成し、設備士免状の写し、住民票、履歴事項全部証明書、建設業許可通知書の写しなどを揃えます。
STEP3:提出(窓口・電子申請・郵送)
| 手続 | 窓口 | 電子申請 | 郵送 |
|---|---|---|---|
| 登録(新規・更新) | ○ | ○ | × |
| 特例届出 | ○ | ○ | ○ |
| 変更届・廃業届 | ○ | ○ | ○(返信用封筒を同封) |
- 窓口:埼玉県庁 第2庁舎3階 県土整備部建設管理課分室(平日 9:00~11:00、13:00~16:15)
- 電子申請:「埼玉県電子申請・届出サービス」から申請。申請書や変更届出書はシステムに直接入力し、その他の様式や添付書類はPDF等にしてアップロードします。
STEP4:手数料の納付(登録の場合)
登録の手数料は新規33,000円、更新26,000円です。特例届出・変更届・廃業届は手数料がかかりません。埼玉県では収入証紙の販売が終了しており、手数料は原則としてキャッシュレス決済(ペイジー、クレジットカード、コード決済)で納付します。
STEP5:登録通知書の受領
審査が終わると登録通知書が郵送されます。電子申請の場合も電子交付は行われません。
登録後・届出後に必要な手続と義務
更新(登録業者のみ)
登録の有効期間は5年間です。引き続き営業する場合は、有効期間満了の30日前までに更新申請を行います。
変更届・廃業届
| 区分 | 変更届 | 廃業届 |
|---|---|---|
| 登録業者 | 変更から30日以内 | 事実発生から30日以内 |
| 特例届出業者 | 遅滞なく | 遅滞なく |
建設業許可が変わった場合
- 登録業者が土木・建築・管工事業の許可を取得した場合:登録は効力を失うため、新たに特例届出を行います。
- 特例届出業者が建設業許可を更新・業種追加した場合:許可通知書の写しを添えて変更届を提出します。
- 特例届出業者が3業種の許可をすべて失った場合:特例届出の廃止届を出し、浄化槽工事業の登録を申請します。
特に特例届出業者は「更新がない」ため、建設業許可の更新時に浄化槽の変更届を出し忘れるケースが少なくありません。注意しましょう。
標識の掲示
営業所と浄化槽工事の現場ごとに、見やすい場所へ標識(登録業者は「浄化槽工事業者登録票」、特例届出業者は「浄化槽工事業者届出済票」)を掲げます。商号、代表者、登録(届出)番号、年月日、浄化槽設備士の氏名を記載します。
帳簿の備付けと保存
営業所ごとに、工事ごとの帳簿を作成して備え付けます。注文者の氏名・住所、施工場所、着工・竣工年月日、請負金額、担当した浄化槽設備士の氏名と免状番号などを記載し、処理方式・構造図・仕様書などを添付します。帳簿は事業年度末で閉鎖し、5年間保存します。
浄化槽工事業の手続を行政書士に依頼する5つのメリット
1. 「登録」か「特例届出」か、正確に判断できる
建設業許可の業種、施工エリア、営業所の数によって、必要な手続や提出先は変わります。行政書士が許可の状況を確認し、最適な手続を判断します。
2. 書類作成・電子申請の手間を省ける
申請書・誓約書・調書の作成、住民票や履歴事項全部証明書の収集、電子申請の入力・アップロードまで一括して代行します。現場で忙しい事業者様は本業に専念できます。
3. 複数の都道府県での手続もまとめて対応
浄化槽工事業の登録・届出は都道府県ごとに必要です。埼玉県と東京都・群馬県・栃木県など、複数の都県で工事を行う場合も、全国対応のサポートセンターならまとめてご依頼いただけます。
4. 建設業許可とあわせた手続の管理ができる
特例届出業者は、建設業許可の更新や業種追加のたびに浄化槽の変更届が必要です。建設業許可の更新・決算変更届とあわせて管理することで、届出漏れを防げます。
5. 更新期限・変更届の管理から建設業許可取得まで継続サポート
5年ごとの更新期限の管理、役員や浄化槽設備士の交代時の変更届、さらに事業拡大に伴う建設業許可(管工事業など)の取得と特例届出への切替えまで、長期的にサポートできるのも行政書士に依頼する大きなメリットです。
よくある質問
Q. 管工事業の建設業許可を持っています。浄化槽工事に手続は必要ですか?
A. はい。登録は不要ですが、「特例浄化槽工事業者の届出」が必要です。また、営業所ごとに浄化槽設備士を置く必要があります。
Q. 東京都で登録していれば、埼玉県でも浄化槽工事ができますか?
A. できません。登録・届出は工事を行う都道府県ごとに必要です。埼玉県内で工事を行う場合は、埼玉県知事への登録または届出を行ってください。
Q. 浄化槽設備士と浄化槽管理士は違うのですか?
A. 違います。浄化槽設備士は浄化槽の設置工事を監督するための資格で、浄化槽工事業の登録・届出に必要です。浄化槽管理士は保守点検に関する資格です。
Q. 特例届出に有効期間はありますか?
A. 特例届出には有効期間や更新はありません。ただし、建設業許可の更新・業種追加などの際には変更届の提出が必要です。
浄化槽工事業の登録・届出は全国建設業許認可サポートセンターにご相談ください
全国建設業許認可サポートセンターでは、浄化槽工事業の登録・特例届出をはじめ、建設業許可の新規取得、更新、業種追加、変更届、決算変更届まで、建設業に関わる許認可手続をトータルでサポートしています。
「登録と特例届出のどちらが必要か分からない」「複数の都県で手続が必要」「建設業許可の更新とあわせて管理してほしい」といったご相談にも丁寧に対応いたします。お気軽にお問い合わせください。
※本記事は埼玉県「浄化槽工事業登録・届出」のページ、「浄化槽工事業登録・特例浄化槽工事業届出の手引き」および電子申請に関する案内(2026年10月時点で掲載のもの)をもとに作成しています。手数料や様式、受付方法は変更される場合がありますので、申請前に必ず最新情報をご確認ください。


